報酬・料金の手取り契約におけるグロスアップ計算・ある手取り金額に対し、源泉徴収前支払額が2つ存在するケース

計算シートはこちら→http://koyomi1582.web.fc2.com/housyuuryoukin/zeikin.xls

講演料等の報酬・料金における、ある手取り金額に対して複数の源泉徴収前支払額が存在するための条件

支払額Xに対する端数切捨前の算出"税額"をα+βとする:
整数部分α、小数部分β、α>=0,0=<β<1
支払額Xの手取りと、支払額X`(>X)の手取りが等しいとすると、X-α=X`-α`     …@

1.X`=X+1の証明
X`-X=Y(Y>=1)とすると、@に代入し、X+Y-α`=X-α,Y=α`-α…A

(1)支払金額100万超、通常の税率の場合
α+β=(X-100万)*2/10+10万,α=(X-100万)*2/10+10万-β
Aに代入すると、Y=(X`-X)*2/10-(β`-β)
 X`-X=Yを代入し、8/10*Y=-(β`-β),Y=-5/4*(β`-β)
-1<(β`-β)<1より、-5/4<Y<5/4
Yは1以上の整数なので、Y=1
 

(2)支払金額100万以下、通常の税率の場合
α+β=X*1/10,α=X*1/10-β
Aに代入すると、Y=(X`-X)*1/10-(β`-β)
 X`-X=Yを代入し、9/10*Y=-(β`-β),Y=-10/9*(β`-β)
-1<(β`-β)<1より、-10/9<Y<10/9
Yは1以上の整数なので、Y=1

(3)支払金額100万超、合計税率の場合
α+β=(X-100万)*2/10*1.021+10万*1.021
α=(X-100万)×2.042/10+102100-β
 Aに代入すると、Y=(X`-X)*2.042/10-(β`-β)
 X`-X=Yを代入し、7.958/10*Y=-(β`-β),Y=-10/7.958*(β`-β)
-1<(β`-β)<1より、-10/7.958<Y<10/7.958
Yは1以上の整数なので、Y=1

(4)支払金額100万以下、合計税率の場合
α+β=X*1/10*1.021,α=X*1/10*1.021-β
Aに代入すると、Y=(X`-X)*1.021/10-(β`-β)
X`-X=Yを代入し、8.979/10*Y=-(β`-β),Y=-10/8.979*(β`-β)
 -1<(β`-β)<1より、-10/8.979<Y<10/8.979
 Yは1以上の整数なので、Y=1

(1)〜(4)より、いずれの場合もY=X`-X=1…B(必要条件)

2.α`の値の条件
@、Bより、X-α=(X+1)-α`,α`=α+1…C

3-1.βの値の条件:支払金額100万超(X>1000000)の場合
Cよりα`+β`=(X`-100万)*税率+100万以下部分の税額=(α+1)+β`
ここで、α=(X-100万)*税率+100万以下部分の税額-βなので
 (X`-X)*税率+β=1+β`
Bより、X`-X=1なのでβ`=β+(税率-1)>=0,β>=1-税率…D

3-2.βの値の条件:支払金額100万以下(X=<1000000)の場合
B、Cよりα`+β`=(X+1)*税率=(α+1)+β`
ここで、X*税率=α+βなので、α+β+税率=α+1+β`
β`=β+(税率-1)>=0,β>=1-税率…E

4.Xとαの関係
(一)税率=通常の所得税率=20/100かつX>100万の場合、Dよりβ>=0.8,またβ<1より、0.8=<β<1
 0.8=<β=(X-100万)*20/100+100000-α<1
 500000+5α+4=<X<500000+5α+5
 5*(10万+α+1)-1=<X<5*(10万+α+1)
 Xは整数なので、X=5(10万+α+1)-1
(αの範囲について)X>1000000なので  10万-4/5<αかつ10万-1<α
αは整数なのでα>=100000
以上より、X=5(10万+α+1)-1 但しα>=100000

(二)税率=合計税率=20.42/100かつX>100万の場合、Dよりβ>=0.7958,またβ<1より、0.7958=<β<1
0.7958=<β=(X-100万)*20/100*1.021+100000*1.021-α<1
α*(50/10.21)+50万+39.79/10.21=<X<α*(50/10.21)+50万+39.79/10.21+1
 Xは整数なので、上を満たすXの値は1つ

(三)税率=通常の所得税率=10/100かつX=<100万の場合、Eよりβ>=0.9,またβ<1より、0.9=<β<1
 0.9=<β=X*10/100-α<1, 10α+9=<X<10α+10
 Xは整数なので、X=10α+9(また、手取り:X-α=9(α+1))

(四)税率=合計税率=10.21/100かつX=<100万の場合、Eよりβ>=0.8979,またβ<1より、0.8979=<β<1
 0.8979=<β=X*10.21/100-α<1
 (89.79+100α)/10.21=<X<(100+100α)/10.21
  (89.79+100α)/10.21=<X<(89.79+100α)/10.21+1
 Xは整数なので、上を満たすXの値は1つ

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